そもそもフロンガス排出抑制法とは その対処方法
そもそも「フロン排出抑制法」って何?
そして何をしなくてはならないの?
2020年4月1日から規制が強化される?
ほっておくとどうなるの?
知っておかないと大変なことになってしまうので
法律の概要とそのやっておかなければならない対策をお話ししたいと思います。
少し長くなりますが聞いて下さい。
フロン排出抑制法とは
「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」が正式名で法律の名称が長いので一般的には「フロン排出抑制法」と言われ、さらに略して「フロン法」とも呼ばれています。すでに2015年4月から施行されていますが2020年4月1日からさらに強化のため法改正され即座に刑事罰もあり突然の立ち入り査察も強化実施されています。
なぜこの法律が急に強化され罰則までされるのか
フロンは自然界にはなかったものですが人間が作り出したものでオゾン層を破壊するだけでなく地球温暖化ガスのCO2よりフロンの種類によりなんと数100倍~10,000倍も温暖化効果が高いのです。
フロンガスはエアコンや冷凍冷蔵庫の冷媒ガスに使われていて使用時の漏洩や廃棄時の漏洩などによりフロン回収率が日本では冷凍機で2割、エアコンで3割と低迷しているとのことです(日経新聞の記事より)。これっていつのまにか中国より回収率が悪いらしいのです。
環境省もこのままではだめだと産廃回収業者だけでなくエアコンや冷凍機を所有している事業者にももっと罰則強化しフロン回収率を日本国として上げていこうというのが今回の2020年4月1日から始まる強化改正法でこれは最短で閣議決定され法律化されました。
今年12月に行われた国連気候変動枠組み条約COP25で日本はテレビでも放映されているように出席した小泉進次郎環境大臣の講演も世界からCO2削減に具体性が無いと非難されておりさすがに立場が無く、現地に行っていたNGOメンバーからは日本への風当たりは随分と厳しいとのお話しでした。日本はCO2削減をさらに強化せねばならい状況に追い込まれているのでさらに磨きが掛ると思われます。現に改正法が決まるとともに査察メンバーが各都道府県とも増員されているようです。
査察の強化といきなりレッドカードが出る!
環境省と経済産業省指導に基づき各都道府県の環境担当から事業者に向けて査察が入り出しており、2020年4月からは単なる行政指導では無く一気にレッドカードで刑事罰の罰金が科せられる事もあり得ると言うことです。産業廃棄物を山に捨てて業者が逮捕されているニュースなどがありますが、あれと同じようなことだと言えるのでしょう。知らないでは済まされないと言うことです。罰金は50万円以下であることなどより社名の公表もするとのことが言われています。また査察官から伺った話ではありますが、有名な企業でフロン管理に努力していないところがあれば見せしめで社名を公表していくのも必要かとの話。私たちの省エネ制御装置BeONEのお客さまにはいち早く強化改正の認識へのご確認やその対策のご提案をさせて頂かないといけないとの気持ちがあせります。
どんな機器が対象となるのでしょう
対象機器は第一種特定製品と呼ばれる業務用エアコン、冷凍冷蔵庫、冷凍冷蔵ショーケース、などですが製氷機や水飲み冷水機、ビールサーバーなどの小さなものも含まれるので注意が必要です。工場ではスポットエアコンや機器制御盤のクーラーなども入ってきます。
なお、家庭用エアコンや家庭用冷蔵庫は家電リサイクル法の範疇で今回の法律からは除外されています。業務用か家庭用かは室外機の名板でもわかりますが小さいから家庭用と判断するのは気を付けなくてはなりません。
査察に来られたときのチェックポイントは・・・
結構やっておく事がたくさんあります。
1)第一種特定製品に対して「機器管理台帳」を作成し管理しているか。
査察に入られると管理担当者はどなたですか?
⇒ 当然管理者を任命しておかねばなりません。
そして、まずは「機器管理台帳を見せてください」と言われます。
機器はセットでは無く室内機も1台、室外機も1台と数えて行き、それぞれを管理台帳に載せていきます。管理No.、機器名称、メーカー名、型式、圧縮機kW、フロン種類、など記載していきます・(詳細は別途)
機器管理台帳はフロン管理には必須で次に説明する簡易点検、定期点検、整備記録簿とのヒモ付けもできるように管理しなくてはなりません。ここが結構大変だと思います。
本当に、この機器管理台帳だけは作成しておいて下さいね。これが無ければまったく管理していません、やる気がありませんと言っているようなものですから。
そしてこの機器管理台帳が保存で無く閲覧性を持って管理されているかを見られます。
例えば3年前のこの機器のものを見せて下さいと言われたとき直ぐに出せるようにしておかないといけません。ダンボールに保管して出すのにゴソゴソして時間が掛っていると「これは保管であって管理されていることにならないですよ」とイエローカード提示なります。
2)機器の簡易点検と定期点検の実施をしているか
注意:機器メーカーの保守上の定期点検とフロン法上の簡易点検・定期点検は異なります。
<定期点検>はエアコン圧縮機容量で7.5kw以上の場合3年に1回以上、冷凍機や50kw以上のエアコンなどは1年に1回以上専門業者による点検が必要です。
もちろん事業所の業種に問わずに行わなくてはなりません。工場だけで無く、店舗も病院も、老人ホームも、事務所もです。自動車を持っておれば法定点検を受けないと乗れないのと同じような理屈です。
そして7.5kW未満の小型エアコンしかなくても今までのようなほったらかしにすることはできず次に説明する簡易点検をして記録する必要があります。
<簡易点検>はすべての機器に対して3ヶ月以内に1回以上実施せねばなりません。結構頻度が高く3か月を超えてしまうことがありますので注意が必要です。
これは事業者様ご自身で行うことができますが、簡易点検をした証拠に1台ずつ1回ごとに簡易点検票を作成する必要があります。点検内容は目視で行えますが、①外観はキズや腐食など問題ないか、②異臭はしないか、③異音はしないか、④油のにじみは無いか、⑤温度異常は無いか⑥霜はついていないかなどの各機器ごとに点検項目にチェックした簡易点検票を保管し管理していかなくてはなりません。
それもこのエアコンが廃棄された後3年間まで保管せねばなりません。
エアコンリスト全機種を一同に一覧表にまとめてチェック表にレ点を付けて点検せずにやった風にしておくと、査察が来たときはちゃんと実際に点検をしているか、点検せずに簡易点検票に記載してごまかしているかを見抜いてきます。特に室外機などに草のツタなどが入っていたり、フィンが汚れたままになっていると簡易点検は実際はやっていないでしょとイエローカードとなります。
ISO14000を取られている事業所ではISO認証継続審査においてもこの簡易点検もきっちりやっているかシビアに検査されますので注意が必要です。管理者が実際にやって目せれることが必要です。
また2018年夏に岐阜の老人医療専門病院でエアコン故障による熱中症で老人4人の死亡事件があり、そのことからもエアコンの点検は指導強化されるようになってきています。
そして今回の改正で点検の記録は機器を設置してから廃棄した後も3年間保存する事が注意点です。
3)故障している機器の修理を行っているか
フロン漏洩を放置することは違法となります。
故障の原因を特定し有資格者による速やかに修繕する事とされています。
ここで重要な事は
次の「整備記録簿」の3点セットを閲覧性を持って保存管理することが必須となります。
①修理票、②フロン漏洩量計測証明書、③フロン充填量証明書
これらは1台ずつ関連付けして機器管理台帳の管理の一部になります。
そして年間のフロン漏洩量、つまり充填量の算定ができるような管理が必要です。
一企業が一定量の漏洩算定量を超えると報告義務も発生します。逆に、一定量を超えていない証明が必要なわけですから企業として超えていなくてもどれだけ漏洩しているかの算定が必要になります。
1台の業務用パッケージエアコンの配管が破れ20kgのフロンが放出してしますと50tonのCO2の排出と同じになります。
またフロンの充填・回収は都道府県に登録された第一種フロン類充填回収業者のみしか行うことができません。
またフロン漏洩が見つかった場合は修理なしでの充填は原則禁止です。
4)機器の廃棄も注意しないと廃棄もできなくなります
機器を捨てる際に先にフロンガスの回収廃棄をしないと行政指導などを経ること無く即座に罰金が科せられます。
①<フロンガスの回収>
廃棄時は必ず第一種フロン類充填回収業者にフロンガスの回収廃棄を回収依頼書をもって依頼することです。そして引取証明書とともに破壊証明書もしくは再生証明書をもらいます。
これらは「行程管理票」と言われており、機器廃棄後最低3年間保存せねばなりません。
②<機器廃棄処分>
その上で有資格者の廃棄物リサイクル業者と「マニュフェスト」を取り交わし、回収依頼書にフロンガス引取証明書のコピーを付けて業者に機器の処分を依頼することになります。
廃棄関係の証明書である上記の行程管理票A票、E票も重要ですが整備記録簿3点セットに該当機器と関連付けして管理しておかねばなりません。
これらの書類も廃棄後最低3年管保存しなくてはなりません。
引取業者も整備記録簿でフロン回収が証明できない機器を引き取ると罰せられるので 引き取り拒否されるようになります。
両方資格のフロン類回収と機器の処分をもった事業者に依頼する場合も引取証明書をもらっておいて廃棄後最低3年間保管しておかねばなりません。
フロンガス排出抑制法での対象機器の数え方
点検台数の数え方に注意が必要です。同じ一つのエアコンであっても室外機数と室内機台数の両方を加えた台数を言います。したがって、室外機1台に室内機4台がワンセットならフロン法では5台と数えて5台分の簡易点検票が必要です。これが1年に4回ありますので、20枚の簡易点検表があり廃棄まで10年使ったら200枚の簡易点検表が保管管理されることになります。機器が100台あると1年で400枚で10年で4000枚の膨大な簡易点検表の保管と管理が必要となります。
となると紙での管理では大変なので数量の多い事業所さまにはIOTデジタル化を勧めています。
さらに点検記録は廃棄してから3年の保存が義務づけられています。
機器が200台以上も有れば点検業務が増えてどうするのよ。
一つの会社で対象機器が室内機、室外機あわせて200台以上となってきますと正直言って属人的エクセルでの管理ではご担当者は限界を超えてくると言われています。
また点検漏れや、目くらチェックでごまかしも起こり、点検記録簿や整備記録簿などとの紐付けもうまくできなくなってきます。
簡易点検の異常なしの直ぐ後に故障したと行ってきている場合などはほとんど担当者の目くらチェック点検と思われます。
3ヶ月点検がやっと終わって整理するとまた次の点検がやってきて延々と行わなわなければなりません。何のために会社に入ったのか、モチベーションも下がってきます。
さあ、どうする。エクセルでやる?
数量の少ない事業所はエクセルと点検フォームを作って対処することもできますが機器管理数量の多い事業所はエクセルマクロを使っても限界を超えてきます。それならば専用のソフトがあるのではとなりますが、単なる管理ソフトだけですとソフト会社が開発したものでもよいのですが、まず点検業務の実態をよく知って製作されたソフトかどうかです。
そしてソフトだけで無く実際の点検業務やフロン回収などハード面でも対応できるかということです。
第一、一番手間の掛る簡易点検をIOTを使って短時間で確実に処理できる必要があります。簡易点検をチェックしてそれを紙に再度整理して転記するなどやっていたら時間がいくらあっても足りません。
そしてやっているとわかるのですがソフトも単なる管理ではなくソート検索機能も必要となってきます。今後の機器の更新計画にもこのソフトが行かせるかです。フロンR22の機器を抜き出したり、製造年月日の古いものをソートしたり、点検が残っているものだけを見つけ出したり、当然フロン法に則って各機器と点検票や行程管理票や整備記録票などと簡単に関連付けができなくてはなりません。そして随時フロンガスの漏洩量などが把握できなくてはなりません。
ソフトとハードの一体化で解決
そこで空調冷凍設備業界が専門性を持って作ったソフトとハード合体のIOTデジタル方式のフロン法に則ったクラウド管理サービスシステムがありますのでお薦めしたいと思います。
当初私たちはそれらを解決するために自社のエアコンの省エネ中央監視システムEcoDataBeONE「REMS-NET WEB」という自社の省エネシステムソフトを改良してフロン管理ソフトにバージョンアップして作り込みしたいと進み始めておりましたが、当社のエアコン省エネ制御装置BeONEがきっかで、ある一般社団法人組織のスーパーバイザーとつながり、その組織が我社が参画している「気候変動イニシアティブ(JCI)」参加メンバーでもあることから、その組織の開発したフロン管理クラウドサービスを知ることになりその完成された内容を見て衝撃を受け、当社で開発するのをあきらめ大手エアコンメーカーや大手冷凍機メーカーのサービス部門も参加しているその一般社団法人の組織と業務提携することでお客さまに上位品質のサービスをご提供することにしました。
このフロン管理サービスはクラウド型フロン管理ソフトと「専用タブレット」をご利用頂き効率の悪い簡易点検を事業者様ご自身がスピーディーに短時間で間違いなく確実に機器台帳への反映がされPDF書類化されます。 そしてその作業すらエアコンのプロが格安でアウトソーシングしてくれてさらに社内業務の効率化を図ることも可能です。機器台帳も前に説明された機能が全て網羅されているなど至り尽くせりのソフトとハードが融合した総合システムをご提供したいと思います。
それにプロがやらなければならない定期点検・修理・フロン回収破壊・廃棄の請負などを全国レベルでフロンガス排出抑制法に関係するあらゆる作業が一つの窓口で可能となり業務効率化も図れます。またそれらの作業項目を分割して依頼することも可能です。
そしてこの機器管理台帳のクラウドシステムは誰もが使えるシステムですから社内のフロン管理者の引き継ぎも容易となります。
もちろんこれは既存のメンテナンス業者様を排除することでは一切無く、業者様がこれをお使いになられお互いに協力して便利なところだけご利用頂くように対応することも可能となります。
そしてすでに弊社でも、大手企業様や中堅の企業様と導入に関し相談を受け話が進んでおります。
もちろんフロン法対策だけで無く長年培った「エアコンの省エネ提案」のご相談も承ります。
お客さまの全ての機器リストを頂ければ色々なパターンのご提案をさせて頂きたいと思います。ただ、4月まで時間がありませんのでお問い合わせも先着順に対応させて頂きますのでご容赦ください。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
そしてまずはお問い合わせ下さい。
そしてお役に立てればと願うところです。
株式会社エコプラン 坂根信勲